漢方　亀命堂薬局　　　薬草屋　きめいどう | 日記 | 初夏になりました。両国小学校前に生えていた重要生薬。嘔吐　つわりの特効薬

　亀命堂薬局の前の植栽にユキノシタが開花。カラスビシャクがたくさん芽を出しています。
　カラスビシャクPinellia ternataは田んぼの雑草でもありますが、近くの両国小学校の前の街路樹の根元に生えていたのを去年２～３株移植しました。サトイモ科の特徴ある花がもうじき咲くでしょう。
　
　カラスビシャクの地下部の塊茎は「半夏：ハンゲ」という非常に重要な生薬です。鎮吐剤として「生姜：ショウキョウ」ショウガと必ず併用します。
　小半夏加茯苓湯はどうにもならないひどい嘔吐にも著効を奏することもよくあり、つわりの常用処方。生姜を乾姜に変え朝鮮人参を加えた半夏乾姜人参丸料も同様に使用する嘔吐、つわりの名処方ですし、そのほかにも多くの重要処方に主薬として配合します。　

　なおドクダミ科のハンゲショウ（半夏生）という植物と混同されることがあるのですがこれは別物。これも田んぼの雑草で、梅雨から夏に上部の葉が白くなるきれいな植物です。こちらは二十四節気（春分だの啓蟄だの立冬、穀雨、夏至などというあれです）をさらに分けた七十二候の半夏生でご存知の方もいらっしゃるでしょう。農家には重要な日のようです。

　ハンゲショウ　Saururus chinensis(学名　ラテン語　Saururusはトカゲの尻尾　恐竜などのザウルスですね　花序の形態からでしょう)
大学の卒業研究はこの植物の成分研究でした。